SAPとNVIDIAが協業関係を強化、業務アプリへの機械学習導入を本格化

データセンター完全ガイド編集部

 ドイツSAPとアメリカNVIDIAは2017年5月10日(米国時間)、業務アプリケーションへの機械学習の本格導入に向けて、協業関係を強化すると発表した。これまでも両社は機械学習の応用に向けて協業関係を結んでおり、SAPはNVIDIAの技術を様々な角度から評価していた。今回の協業強化では、これまでの評価結果を受けて、SAPの業務アプリケーションに機械学習を取り入れていくことを目指すものとなる。

 NVIDIAが主催するイベント「GPU Technology Conference」の基調講演でSAPとの関係強化を明らかにしたNVIDIA CEOのJensen Huang氏は、SAPがNVIDIAとの協業開始以来挙げてきた成果の一部を紹介した。

 まずは「SAP Brand Impact」と呼ぶシステムにNVIDIAのGPUを応用した例だ。このシステムはテレビ放送などの動画の中から特定の企業のロゴや、企業名を示す表記などを探し出すものだ。テレビ放送に広告費を払っても、その効果が見えにくいという声に応えるために作ったものだ。

 ドイツの自動車メーカーであるAudiは、「Audi FIS Alpine Ski World Cup」というスキー競技の大会の冠スポンサーとなっているが、テレビ放送においてどれほどの露出効果があるのかを正確につかむことができないでいた。そこで、SAPがNVIDIAのGPUを応用したSAP Brand Impactの試作版で動画を解析して結果をAudiの担当者に見せた。すると担当者はその検出精度に驚き、サッカーのクラブ対抗カップ戦「Audi Cup」や、Audiがスポンサーを務めるプロサッカーチーム「FC Bayern Munich」の放送の分析にもこのシステムを使うことを積極的に考えるようになったという。

図:NVIDIAのGPUを応用したSAP Brand Impactの試作版で動画を解析したところ(出典:NVIDIA)

 SAPのChief Innovation OfficerであるJuegen Mueller氏は、試作システムが動くまでの様子を振り返ってこう語った。「膨大な画像データでシステムを学習させたが、そのために特別なプログラムを作る必要はなかった。GPUがなければこれほど膨大なデータの学習を完了させることはできなかっただろう」。そしてその効果について「今やSAP Brand Impactは十分に学習を積み重ね、膨大な量の画像や動画から、目的のイメージを瞬時に探し出せるようになった。SAP Brand Impactを利用する企業は、広告に対する効果をリアルタイムで確認できる。マーケティング担当者がサッカー中継の前半戦で自社ロゴや自社のイメージの露出が契約で約束していた分よりも少ないという結果を得たら、放送担当者に後半戦はもっと露出させるように指示することもできる」と語っている。

 Huang氏はSAPがNVIDIAのGPUを有効に活用した例をもう1つ紹介した。Huang氏は、現在でも世界の大企業は紙の納品書を扱っており、1企業が年間に扱う納品書はおよそ800万枚に上る事実を挙げ、紙の納品書を人手で処理すると時間が掛かるし、人件費もかかる。そして人手で扱えば必ずミスが発生すると問題を指摘した。

 SAPは、この問題に対して「SAP Accounts Payable」というシステムを開発した。紙の納品書を完全に自動で処理するものだ。このシステムでもNVIDIAのGPUを利用してニューラルネットワークを作って、学習させたという。その結果、納品書は1秒以下で処理できるようになり、ミスもなくなったという。

 SAPのMueller氏は、この成果について財務処理アプリケーションにおける重要な一歩だとし、SAPの財務処理関係のアプリケーションすべてが数年内に機械学習を取り入れたものになるだろうと語っている。

 さらにMueller氏は、「SAPは顧客企業があらゆる局面で素早く決断できるように支援していく。今や顧客はデータから経営環境を敏感に感じることができ、機械学習を利用すれば膨大なデータを素早く分析でき、分析結果に裏打ちされた行動に出ることが可能だ。SAPはNVIDIAと共に、このサイクルをほかでは考えられない速度で動かせるようにしていくつもりだ」と語っている。そして、今後SAPの顧客はSAPが提供するアプリケーションに機械学習の機能がどんどん加わっていくのを目にすることになるだろうと今後について予告した。そして、顧客が機械学習を簡単に利用できるようになれば、顧客の組織は意思決定が早くなり、より賢い判断を下せるようになるだろうとした。


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