デジタルビジネスを駆動するデータセンター [Part1] Introduction 「デジタルビジネスを駆動するデータセンター」を見定める

デジタルビジネスを駆動するデータセンター
[Part1] Introduction
「デジタルビジネスを駆動するデータセンター」を見定める

「Data Center as a Service」――外資系クラウドベンダー/事業者の攻勢による危機感も手伝って、日本のデータセンター事業者でも、固定的な“ファシリティとしてのデータセンター”から、ユーザーの要件に応じてスケーラブルにITインフラを提供できる“サービスとしてのデータセンター”への転換が進みつつある。ここでは、企業が「デジタル変革」を視野に入れてITインフラを選ぶ際の重要な観点を挙げてみたい。

text:渡邉利和

デジタル変革時代を迎えた背景

 最近、ITベンダー各社のトップメッセージとして頻繁に挙がるキーワードに、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)がある。単純に言い切ってしまえば、「最新のICT/デジタル技術を活用して経営や業務を改革すること」といった意味合いになる。デジタル変革という訳語も定着しつつある。

 コンピュータはそもそも、各種の機械が肉体労働の負担を軽減し、人間の介在なしに処理できるようにしたのと同様に、事務作業や頭脳労働を人間に変わって処理することを目指して開発された計算機だ。そう考えれば、ICTの発展によって従来の仕事のやり方が変わるだとか、場合によっては人間の仕事がコンピュータに奪われるといった話になるのも、ある意味当然の結果ではある。デジタル変革が今、声高に言われるようになったのは、さまざまな条件が揃ってきたタイミングだからという理由が大きいだろう。

 ITインフラの中核であるCPUの性能向上やソフトウェアの進化ペースは鈍化し、成熟段階に入りつつある。この傾向は最近になって突然生じたわけではなく、もう10年近く前から停滞期を迎えている印象もある。

 では、直近では何が変化したのだろうか。まず挙がるのは、モバイルやワイヤレス技術の進展によるコンピューティングデバイスの主役交代だ。ネットワークで接続されたフロントエンドのPCとバックエンドのサーバーという組み合わせが長らく業務システムの主役となっていたが、昨今、PCの存在感は急速に薄れつつあり、多くのユーザーにとっては最も身近なデバイスはスマートフォンやタブレットになった。

 さらには、ここ10年でインターネットに常時接続するユーザーの数が一挙に増えたことも大きい。だれもがスマートフォンを持つようになり、無自覚でもインターネットに常時つながっているのが今だ。

 この結果、だれもがインターネットを活用する前提でビジネスを設計し、サービスを提供する企業が増えていった。インターネットが本当の意味で社会インフラとして機能し始め、従来はICTやデジタルとは無縁だと思われていた業種でも例外ではなくなりつつある。

データセンターのデジタル対応

 では、データセンターは、デジタルにどう対応すべきだろうか。大きく2つの方向性が考えられる。

 まずは、自社の業務を新たな手法を用いて高効率化/自動化していくことだ。これにはIoT(Internet of Things)のようなアプローチを用いた詳細なデータ収集、AIや機械学習による運用管理ノウハウの自動化などといった取り組みが考えられる。

 次いで、デジタル変革に取り組むユーザー企業をデータセンター事業者自身が支援するという方向性も考えられる。従来、データセンター事業は不動産業との類似性がよく言われてきた。「価値ある設備を準備し、テナントに貸し出す」というモデルがそうなのだが、現在では「ITを活用するユーザー企業が必要とする基本的なサービスを提供する」かたちにシフトしつつある。

 ユーザー企業がデジタル変革に取り組む場合、ソフトウェア処理が従来以上に増大することは確実で、主にデータセンター内で処理されることになろう。しかも、オンラインサービスの提供企業だけでなく、以前はITやインターネットから距離を置いていた企業も続々と業務やサービスのデジタル化に邁進することになる。こうした需要をいち早くとらえ、魅力的なサービスを提供することが、データセンターにとって重要な取り組みの1つとなるのは間違いない。

デジタル変革時代の主要技術とセキュリティ

 デジタル変革時代を象徴する技術分野としては、モバイル、IoT、ビッグデータ解析、AI/機械学習などが挙げられる。これらはネットワークトラフィックの増大やストレージ容量の消費といったインパクトをデータセンターにもたらす一方で、ユーザー企業をデータセンターに引き寄せる材料にもなる。これらの技術を活用したいという思いが、デジタル変革に取り組む動機となる例が少なくないと考えられるためだ。

 そこで、IoTやAIなどをユーザーが利用しやすいようにあらかじめ環境を整えて提供する取り組みが目立つようになってきている。主要なクラウドサービス事業者はもちろん、データセンター事業者でもすでにこうした取り組みが始まっており、無視できない流れとなりつつある。

 さらに、企業活動/経済活動の主たる舞台がインターネット環境となっていることから、セキュリティの重要性も数年前とは比較にならないほど高まってきている。今やサイバー犯罪で多額の不当利益を得ることができ、かつ発覚しにくいため犯罪組織が暗躍する舞台もインターネット上にシフトしている感がある。

 かつての愉快犯レベルの話ではなく、高度な組織犯罪などに対応するのはユーザー企業には荷が重い。そのため、データセンターに対する期待もさらに高まるだろう。

 データセンターはリソースを提供するだけにとどまらず、リソースを安全に活用できるよう必要なセキュリティ機能もサービスとして提供することが必須で求められると考えられる。

攻撃のタイプに応じたセキュリティ施策を

 なお、データセンターやクラウド環境のセキュリティを考える上で興味深いデータが発表されている。米国に本拠を置くセキュリティサービス企業のラピッド7(Rapid7)は、クラウド事業者と協力して犯罪者の攻撃手法に関する情報収集のためにハニーポット・ネットワークを構築している。そこで収集した攻撃手法の分析結果が研究レポートとして公表されているのだが、その中にクラウド事業者ごとにどのような攻撃手法が検出されたかを整理したデータがある(図1)。

図1:サービス事業者ごとのサイバー攻撃対象分布(出典:ラピッド7)
図1:サービス事業者ごとのサイバー攻撃対象分布(出典:ラピッド7)

 これを見ると、クラウド事業者によって攻撃手法の分布が異なっていることがわかる。どういうことかというと、クラウド事業者はそれぞれのサービスメニューの構成や提供する機能、価格の設定によって実行されるワークロード構成に特徴が生まれる。そこに、攻撃者がそれぞれの特徴に応じた攻撃を仕掛けるためだ。

 ユーザーも攻撃者も、クラウドごとの特徴をよく見て使い分けているわけで、事業者側も当然こうした傾向をつかんだうえで対策を講じる必要がある。「クラウドはどれも同じで、価格競争以外に差別化要素はない」という認識は間違いであり、さらに講じるべきセキュリティ施策もそれぞれの特徴に応じて個別に工夫せざるをえない。こうした対応をユーザー企業が行うのはさすがに困難であろうことから、クラウド環境をホストするデータセンター側でよりいっそう高度な対応を行わざるをえないだろう。

 クラウドの普及により、データセンターの立地にこだわる意味が薄れるから、国内のデータセンターは海外データセンターとの価格競争に直面し、苦しい状況に置かれることになるという予測もしばしば聞かれた。だが、少なくとも現時点においてはそれで国内データセンターが壊滅的な状況になっているということはない。ただし、グローバルにサービスを展開するハイパースケールクラウド事業者も続々と日本国内に拠点を開設している状況なので、それらとの競争は当然に生じる。

 日本のデータセンター事業者においては、先のAIのような技術を活用することで運用コストを下げつつ、より高度で洗練されたデジタル変革時代のサービスをユーザーに提供することで、市場での生き残りを図ることになるだろう。

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