分散キャッシュ連携によるデータの一貫性を実現【EMC VPLEX】

EMCジャパン株式会社
http://japan.emc.com/products/family/vplex.htm

text:元麻布春男
データセンター完全ガイド 2011年冬号(2010年12月20日発行)掲載

サーバーの仮想化とストレージの仮想化で大きく異なることの1つは、仮想化のインフラストラクチャ(仮想化ソフトウェア)が、標準化されているサーバーに対し、ストレージの仮想化を司るソフトウェアは、ストレージベンダーの独自技術によるものである、ということだ。VMwareやCitrix、MicrosoftやParallelsといった、サーバーベンダーとは独立したソフトウェアベンダーにより、サーバー仮想化のインフラが提供されているため、異なるベンダー間のサーバーを仮想化環境の中で連携させることが比較的容易だ。つまり、多少効率が悪くなったりすることはあっても、マルチベンダーのサーバーを仮想化環境の中でコンピューティング・リソースとして共通にプールすることができる。

しかしストレージの場合、ベンダーによって、あるいは同一ベンダー内でも製品シリーズが異なると、同じリソースとしては扱えなくなることが少なくない。あるベンダーのストレージの容量が不足してきたときに、他ベンダー製ストレージの空き容量を割り当ててしのぐ、ということは通常できない。それを行うには、サーバー上でのOSやアプリケーションの設定を変更しなくてはならない。データを他社のストレージに移行する場合も、サーバー側からファイルを操作するなどの作業が発生し、業務に影響を及ぼすことが一般的だ。そればかりか、バックアップやレプリケーションの設定変更など、移行後も多くの作業が発生する。

つまり、仮想化ストレージにあっても、それぞれの機器や装置レベルでの仮想化は行われているものの、複数ベンダーのストレージが混在するデータセンターレベルでは、ストレージの仮想化は行われていないのが実情だ。ましてや、複数のデータセンターにまたがったストレージの仮想化はさらに難しい。また、こうした不都合を避けるために、極力ストレージは同じベンダーの同じ製品シリーズで揃えた方が無難だと考えられている。サーバーと違って、ストレージをマルチベンダー化することは苦労が多い。

しかし、いつまでも同じストレージ製品しか使えないというのでは、ITの柔軟性が低下する。より優れた機能と性能を持つ新製品が導入できなくなってしまうからだ。また、1つのベンダーや製品に囲い込まれることは、ベンダー間の競争が起こりにくくなってしまう。競争の欠如は価格の低下を難しくするし、究極的には優れた製品が登場しにくい環境を生み出す。また、どんなに努力しても、部門毎に導入されていたストレージシステムの統合や、企業同士の合併など、ストレージシステムがマルチベンダー化することが避けられないこともある。データセンターレベルでのストレージの仮想化は、製品レベル、機器レベルでのストレージ仮想化を実現した次のステップとして解決しなければならない課題だ。

マルチベンダーストレージを可能に

EMCのVPLEXは、データセンターレベルでの仮想化、さらには仮想化されたデータセンター間の連携までも見据えた、ストレージ仮想化のソリューションだ。ストレージベンダーの垣根を越え、データセンター間の距離を超えたストレージの仮想化をITにもたらす。

VPLEXはそれ自身がストレージ装置ではない。ストレージ装置とサーバーの間に介在し、ストレージ装置の仮想化とそれに伴うデータのキャッシュを行う。VPLEXを構成するのは、VPLEXエンジン、電源と予備電源、管理サーバー、FCスイッチ、UPSといったコンポーネントだ。

その中核となるVPLEXエンジンは、EMCのハイエンドストレージであるSymmetrix V-Maxのエンジンをベースに新規開発されたものだ(図1)。仮想化機能を司るEMC GeoSynchronyソフトウェアを実行するダイレクタを2組内蔵する。それぞれのダイレクタは、5つのFC I/Oモジュールと1つのGbE I/Oモジュール(現時点では未使用)を内蔵しており、各FC I/Oモジュールには8GbpsのFCポート4ポートを内蔵する。5つのFC I/Oモジュールのうち、2個がフロントエンド用(ホスト接続用)、2個がバックエンド用(ストレージ接続用)に使われ、残る1つはダイレクタ間の接続や他のノード(クラスタ)間の通信に用いられる。ほかにOSやファームウェアを収納した30GBのSSD、32GBのメモリ、管理アクセスモジュール(管理用LANポートを提供)がエンジンに含まれ、エンジン全体で4Uサイズとなる。

図1 VPLEXエンジン
EMCストレージ・エンジン・プラットフォームを活用してファイブ・ナイン(99.999%)の可用性を実現
図1 VPLEXエンジン EMCストレージ・エンジン・プラットフォームを活用してファイブ・ナイン(99.999%)の可用性を実現(出典:EMCジャパン)

VPLEXの特徴

VPLEXの大きな特徴は、このバックエンドに異なる種類のストレージシステム(アレイ)を接続できることだ。SymmetrixとCLARiXといった、EMCの異なるストレージ製品だけでなく、他社製のストレージも接続することが可能だ。そしてVPLEXにより1つのストレージプールとして扱うことが可能になる。つまりサーバーからは常にVPLEXがストレージとして参照されており、実際のストレージ(アレイ)間で自由にデータを移動させることが可能になる。このデータセンター内でのストレージの仮想化に対応した製品をVPLEX Localと呼ぶ(図2)。エンジン数を最大4台まで拡張することで、性能のスケールアウトを実現する。

図2 VPLEX Local
データセンター内の異機種ストレージプール共通化(出典:EMCジャパン)
図2 VPLEX Local データセンター内の異機種ストレージプール共通化(出典:EMCジャパン)

VPLEXアーキテクチャの特徴は、このストレージクラスタを遠隔地に配置することが可能なことだ。現在リリースされているのは、クラスタ間の距離が100kmまでの2カ所のサイトに分散したストレージを1つのストレージシステムとして仮想化可能なVPLEX Metroである(図3)。2カ所に設置されたVPLEXのキャッシュを分散連携させ一貫性を保つことで、どちらのサイトからも透過的に全ストレージを共有アクセス可能にする。

図3 VPLEX Metro
データセンター間の異機種ストレージ共通プール
図3 VPLEX Metro データセンター間の異機種ストレージ共通プール(出典:EMCジャパン)

さらに2カ所のストレージサイト(ストレージクラスタ)のどちらかのみに負荷が集中しないよう、サイト間のロードバランシングを行うことができる。サイト間でミラーリングを行うことで、天災などデータセンター施設全体に及ぶ障害への冗長性を確保することも可能だ。VPLEXが提供するミラーリング機能の提供により、ストレージベンダー毎に異なるレプリケーションツールを運用管理する必要がなくなる。

VPLEXの将来像

このVPLEX Metroが提供する遠隔地間のストレージサイトを連携させる機能を、キャッシュ間の同期を非同期で行うことで、数1000km単位に拡張するVPLEX Geoが2011年にリリースされる見込みだ。さらに地球上のあらゆる場所をカバー可能なVPLEX Globalも将来リリースされる予定になっている。大げさな言い方をすれば、全世界のデータセンターに分散するマルチベンダーのストレージを、1つの仮想ストレージとして、世界のどこからでも参照可能にする技術だ。たとえばVMwareのLong Distance VMotionと組み合わせることで、サーバーとデータは地球上のどこへでも移動することが可能になる。あるいは、データは移動させずに全世界から同じデータにアクセスすることもできる。一番空いたデータセンターで実行することはもちろん、バッチ処理などは最も電力コストの少ない場所で行う、季節に合わせて最も気温の低いデータセンターを利用する、といったことも実現する。

VPLEXがもたらすのは、サーバーからみたストレージの究極の仮想化だ。ストレージは距離や場所、ベンダーといった物理的な制約から逃れ、まさにクラウドとなる。サーバーが仮想化によりコンピューティングリソースとなったように、ストレージもデータリソースとして、必要な時に必要なだけ、必要な場所で利用可能となる。もちろん、現時点では決して安価な技術ではないし、導入可能な企業は限られてしまうだろうが、ストレージの将来像を予見する技術として注目される。

図4 分散キャッシュ連携技術
全エンジン間のキャッシュの一貫性を保持する
図4 分散キャッシュ連携技術 全エンジン間のキャッシュの一貫性を保持する(出典:EMCジャパン)
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