筐体1つにまとめられた“コンパクトデータセンター”

Dell PowerEdge VRTX
デル株式会社

text:渡邉利和

デルが2013年6月26日から販売開始した「Dell PowerEdge VRTX」は、同社のブレードサーバーのコンポーネントを活用し、共有インフラストラクチャプラットフォームとしてまとめたものだ。最大4台のサーバーノードとストレージ、ネットワークスイッチが5Uサイズの筐体にまとめられ、オフィス内でもペデスタル型筐体として設置/運用が可能になっている。中小規模のユーザーが「コンパクトなデータセンター」として1台にすべてのITリソースを統合することもできるし、データセンター事業者などが共有型サービスのプラットフォームとして活用することもできそうだ。

オールインワンですべてを統合

パブリッククラウドサービスに注目が集まり、「IT機器を自社所有するのは時代遅れ」と言う人もいるかもしれなが、実のところオンプレミスで運用するサーバーの需要が減少しているわけではない。データを社外に出したくないという場合もあるが、見落としがちなのはオフィスのWAN回線の帯域が足りない場合だ。中小企業では、高価な広帯域の専用線を確保するのも難しいため、大量のデータを社外のデータセンターに置いてしまうと、アクセスに時間がかかってしまうということもあり得る。WAN回線のコストを考えると、帯域を拡大して社内のITリソースを一掃するよりも、社内に置くべきリソースと社外のデータセンターに置くべきリソースを峻別して、使い分ける方が合理的な場合もあるだろう。

Dell PowerEdge VRTXは、こうした中小企業のオフィスで使われるITインフラを効率的に支える共有型インフラを、オールインワンで提供するプラットフォームだ。ハードウェア的には、専用のストレージベイを組み込んだブレード筐体に、最大4台のサーバーブレードとストレージ、ネットワークスイッチを組み合わせたものとみることができるが、統合的な運用管理を可能とするソフトウェアのバンドルなども行われており、運用管理の負担を軽減するように配慮されている。確かな需要が存在する、という点に安住せず、クラウドに向かう市場のトレンドを踏まえたうえで、クラウドに惹かれるユーザーにとっても魅力的なオンプレミス型プラットフォームの構築を目指したものといえるだろう。

ハードウェアの構成

PowerEdge VRTXは、同社の既存のブレードサーバー用サーバーブレードである「Dell PowerEdge M620サーバー」または「同M520サーバー」を最大4台搭載できる。筐体はラックマウントおよびペデスタル型の両方に対応できるデザインで、ラックマウントとした場合は5Uサイズとなる(写真2)。ペデスタル型として利用する場合は、この筐体を縦置きにし、底面にキャスターと転倒防止金具を取り付ける(写真3)。

写真1 Dell PowerEdge VRTX(出典:Dell PowerEdge VRTX Technical Guide)
写真1 Dell PowerEdge VRTX(出典:Dell PowerEdge VRTX Technical Guide)
写真2 ラックマウント(出典:Dell PowerEdge VRTX Technical Guide)
写真2 ラックマウント(出典:Dell PowerEdge VRTX Technical Guide)
写真3 背面(出典:Dell PowerEdge VRTX Technical Guide)
写真3 背面(出典:Dell PowerEdge VRTX Technical Guide)

前面から見た場合に約半分のスペースを占めるドライブベイは、3.5インチおよび2.5インチのドライブに対応でき、3.5インチドライブを使う場合には最大12基、2.5インチドライブなら最大25基を内蔵できる。容量は、最大で48TB(4TB 3.5インチドライブ×12)または30TB(1.2TB 2.5インチドライブ×25)となる。なお、筐体側ドライブベイのストレージは、4台のサーバーブレードから共有される外付け共有ストレージとして利用されるイメージだが、物理的な接続は、内部的にPCIバスに直結されている形となり、接続インターフェイスなどについて心配する必要はない。さらにサーバーブレード側にもM520/M620のいずれも最大2台のドライブを内蔵可能だ。サーバーブレード側にハイパーバイザー環境をインストールし、筐体のストレージには仮想サーバーイメージを格納するための共有ストレージを用意する、といった使い分けが考えられる。

ネットワークは、1Gbpsイーサネットを8ポート備えたスイッチが利用可能で、この場合はサーバーブレードごとに、2ポートずつを割り当てる形になる。今後10Gbpsイーサネットスイッチのリリースも予定されている。本機のユニークな機能としては、筐体側にPCIスロット(PCIe GEN2を含む)を8スロット(フルハイト/フルレングス×3、スモールフォームファクタ×5)を用意しており、サーバーブレード当たり最大4スロットを割り当てられるようになっていることだ。フルハイト/フルレングススロットにはビデオカードを挿すこともできるので、GPGPUを活用したり、あるいはイーサネットカードをセットしてネットワークのポート数を増やしたり、必要に応じて柔軟な機能拡張が実現できる。

運用管理性と信頼性にも配慮

VRTXの筐体には、冗長化されたCMC(Chassis Management Controller)が備わり、システム起動時のBIOS画面も遠隔に転送できるなど、リモートからの完全なシステム管理が可能だ(画面1)。

画面1 CMC管理画面
CMC Virtual Disksタブの選択画面(出典:Dell PowerEdge VRTX Technical Guide)
画面1 CMC管理画面
CMC Virtual Disksタブの選択画面(出典:Dell PowerEdge VRTX Technical Guide)
また、グラフィカルなシステム管理ソフトウェアが用意され、運用管理時の人的ミスを最小限に留めるよう配慮されている。操作対象となるハードウェアコンポーネントは、ディスプレイ上に表示された筐体前面のイメージに、実際の搭載場所を示すインジケータがはっきりと表れるため、運用管理者は「今どのコンポーネントを操作しているのか」を勘違いする可能性は低い。本機の場合、ドライブベイの搭載ドライブ数が多いこともあり、いまどのドライブに対して操作を行っているのかを間違いなく明示することは、万一のデータ喪失のリスクを軽減するためにも重要だろう。

このほか、高信頼性対策としては基本的なシステムコンポーネントが冗長化されるのは当然で、冷却ファンは4基、電源は最大4基が装着され、いずれもホットスワップ対応となっている。さらに、本機の場合はオフィス内に設置して運用されることも想定されることから、静音性も重視されていることに加え、AC 100V電源にも200V電源にも両方に対応する。中小規模の企業や大企業のブランチオフィスなどでは、業務用のサーバーアプリケーションの実行やファイルサーバーなど、実行すべきソフトウェアはさほど多いわけではない。一方で現在のプロセッサ性能はマルチコア化によって簡単には使い切れないほどの向上を見せていることから、おおむね数台程度のサーバーがあれば、オフィス内のITリソースとしては十分カバーできてしまう状況にある。とはいえ、従来型のサーバーを数台用意し、さらにストレージやネットワークを接続するとなれば、不慣れな管理者の手に余る規模のシステムになってしまう。しかし、VRTXであればコンポーネントはすべて統合済みであり、ハードウェア構成の複雑さはまったく意識することなく、単一のプラットフォームとして運用管理を行うことができる。

なお、この運用管理性の高さに注目すれば、データセンター事業者などの大規模環境でも導入価値が出てくる。たとえば、サービスの安定性を重視する場合にはマルチテナント環境といってもやはり物理的にリソースを分割しておきたい場合もあるだろう。そうした場合に、顧客ごとにVRTXを割り当てる形にすれば、運用管理が容易でかつ物理的にパーティショニングされた環境を提供できる。

PowerEdge VRTXは、6月12〜14日に幕張メッセで開催されたInterop Tokyo 2013の「Best of Show Award」では、クラウドプラットフォーム部門特別賞を受賞している。受賞理由としては、「支店や小規模拠点向けではあるが、デュアルCPUのサーバーノードを4枚搭載でき、ストレージも共有可能」「PCIパススルーで多様なカードが利用でき、サーバーに割り当て可能」「ストレージサーバー以上の高性能/高機能を備えた統合型サーバー」といった点が評価されており、クラウドプラットフォームとしても注目を集めている最新ハードウェアなのである。

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